私たちの身近なほうじ茶 カフェインは大丈夫?
香ばしい香りとすっきりした味わいで親しまれるほうじ茶。
カフェインに関心が高まる中、「ほうじ茶のカフェイン量は?」「妊娠中や子供でも安心?」といった疑問も聞かれます。この記事では、ほうじ茶のカフェイン含有量、妊婦さんや子供への影響、そして安心して楽しむためのポイントを解説します。
ほうじ茶とは 香ばしさの秘密
ほうじ茶は、煎茶や番茶などを強火で焙煎した日本茶です。高温焙煎により茶葉は褐色に変わり、特有の香ばしい香りが生まれます。この香りの成分「ピラジン類」にはリラックス効果も期待されます。
製造過程でカフェインなどの成分も変化し、一般的に「カフェインが少ない」イメージがありますが、実際には含まれており、正しい理解が大切です。
この記事でわかること
この記事では、ほうじ茶の正確なカフェイン含有量と他の飲み物との比較、カフェインの妊婦さんや子供への影響と摂取目安量、安心して飲むための工夫、カフェインをさらに控えたい場合の「茎ほうじ茶」や「ノンカフェインほうじ茶」、そしてほうじ茶のカフェイン以外の嬉しい効果について解説します。
ほうじ茶のカフェイン含有量 他のお茶と比べて本当に「少ない」?
ほうじ茶が「カフェインが少ない」と言われる理由を、具体的な含有量と他の飲み物との比較から見ていきましょう。
ほうじ茶に含まれるカフェインの具体的な量
文部科学省「日本食品標準成分表」によると、ほうじ茶の浸出液100mlあたりのカフェイン量は約20mgです。湯呑み一杯(約150ml)では約30mgとなります。製品や茶葉の種類、淹れ方で変動しますが、標準値は100mlあたり20mgです。
主な飲み物のカフェイン含有量比較
ほうじ茶のカフェイン量を他の一般的な飲み物と比較します。
飲料名 | カフェイン含有量 (100mlあたり) |
---|---|
コーヒー | 約60mg |
紅茶 | 約30mg |
玉露 | 約160mg |
煎茶 | 約20mg |
ウーロン茶 | 約20mg |
ほうじ茶 | 約20mg |
玄米茶 | 約10mg |
麦茶 | 0mg |
表の通り、ほうじ茶のカフェイン量はコーヒーの約3分の1、玉露の約8分の1で、煎茶やウーロン茶と同程度です。玄米茶よりは多く、麦茶には含まれません。
カフェイン量に影響を与える要因
ほうじ茶のカフェイン量は、茶葉の種類と成熟度、焙煎工程、淹れ方によって変動します。 若い芽にカフェインが多い緑茶に対し、ほうじ茶に使われる成熟した「番茶」や茎部分の「茎茶」は元々カフェインが少なめです。特に「茎ほうじ茶」は葉よりもカフェインが少ないとされます。 高温焙煎でカフェインの一部が昇華し減少します。
深煎りの方がカフェインは少なくなる傾向があります。 カフェインは高温・長時間の抽出で多く溶け出します。ほうじ茶は熱湯で淹れるのが一般的で、この高温での抽出が、焙煎によるカフェインの減少を補い、結果として煎茶と同程度のカフェイン量(20mg/100ml)に落ち着く主な理由と考えられます。この点を理解しておくと、ほうじ茶のカフェイン量をより正確に把握できます。
妊婦さんのカフェイン摂取 胎児への影響と1日の目安量
妊娠中のカフェイン摂取は、母体と胎児に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
妊娠中のカフェインが母体と赤ちゃんに与える可能性のある影響
カフェインは胎盤を通過し胎児に届きますが、胎児はカフェインを効率的に代謝できません。過剰摂取は低出生体重児のリスク増加や、特に妊娠初期には流産・早産のリスクを高める可能性が指摘されます。ただし、1日200mg以下の適量であれば大きな悪影響はないとされ、過度な心配は不要です。
国際的な機関が示す摂取目安量
多くの国際機関は、妊婦さんの1日のカフェイン摂取上限を200mg~300mg(コーヒーなら1~2杯程度)と示しています。日本には独自の基準値はありませんが、これらの国際的な目安を参考に、過剰摂取を避けるよう注意喚起がなされています。具体的な数値よりも、ご自身の体調と相談しながら適量を心がけることが大切です。
ほうじ茶の場合 1日にどのくらいまでなら安心?
ほうじ茶1杯(150ml)のカフェインを30mgと仮定すると、1日の目安200mgなら約6杯、300mgなら約10杯までという計算になります。しかし、これはあくまで目安であり、他のカフェイン含有食品からの摂取も考慮し、1日に1~2杯から多くても数杯程度に留めるのが一つの考え方です。最も大切なのはご自身の体調ですので、心配な場合は必ず医師に相談し、安心してマタニティライフを送りましょう。
子供のカフェイン摂取 成長への影響と注意したいこと
子供のカフェイン摂取も、影響や適切な量を理解することが大切です。
子供の体とカフェイン 感受性と過剰摂取のリスク
子供は体が小さくカフェインの分解能力も未熟なため、大人より影響を受けやすいです。過剰摂取で不眠、イライラ、集中力低下などの中枢神経興奮症状や、頭痛、心拍数増加などの身体症状が現れることがあります。長期的な影響として、骨の成長や成長ホルモン分泌への影響も指摘されます。
年齢別のカフェイン摂取目安量
日本では子供の明確な基準値はありませんが、カナダ保健省の推奨量が参考になります。4~6歳で1日45mg、7~9歳で62.5mg、10~12歳で85mg、13歳以上は体重1kgあたり2.5mgです。 ほうじ茶(100mlあたりカフェイン20mg)なら、4~6歳で1日マグカップ1杯半~2杯程度(約225ml)が目安ですが、他のカフェイン源も考慮が必要です。
子供にほうじ茶を与える際のポイント
ほうじ茶は子供にとっても比較的安心して楽しめるお茶ですが、カフェインが含まれていることを念頭に、以下のポイントに注意して与えるようにしましょう。与え始める時期(3歳頃まではノンカフェイン飲料を基本とし、それ以降少量から)、量と頻度(目安量を参考に少量に留め、日常的な大量摂取は避ける)、時間帯(就寝前は避ける)、そして子供の様子を観察することが大切です。これにより、親子で安心してお茶の時間を楽しめます。
ほうじ茶を「安心」して楽しむために 妊婦さんと子供への具体的なアドバイス
ほうじ茶のカフェインを理解した上で、妊婦さんや子供がより安心して楽しむための工夫や注意点を紹介します。
飲む量とタイミングの工夫でカフェイン摂取をコントロール
1日の総カフェイン量を意識し、ほうじ茶の量を調整します。妊婦さんは体調が良い時に1日数杯程度、子供はおやつの時間に少量などと決め、特に夕食後や寝る前は避けましょう。薄めに淹れるのも有効です。
注意点 ほうじ茶のタンニンと鉄分吸収について
ほうじ茶の「タンニン」は鉄分の吸収を妨げる可能性があります。特に鉄分が必要な妊娠中は、食事中や食後すぐを避け、食間に楽しむのが理想的です。
もっとカフェインを抑えたい方へ 選び方・淹れ方のコツと「ノンカフェインほうじ茶」
カフェイン摂取を抑えたい方向けに、ほうじ茶の選び方、淹れ方の工夫、そして「ノンカフェイン」や「デカフェ」のほうじ茶を紹介します。
カフェインがより「少ない」ほうじ茶の選び方
カフェインが比較的少ないほうじ茶として、茎を焙煎した「茎ほうじ茶(棒ほうじ茶)」、成熟した茶葉の「番茶」を原料としたもの、焙煎度合いが深い「深煎り」のものなどがあります。
淹れ方で変わるカフェイン量
湯温を少し下げ(70℃~80℃程度)、抽出時間を短め(30秒程度)にするとカフェインの溶出を抑えられます。茶葉の量を減らす、二煎目以降を飲むのも有効です。
ノンカフェイン・デカフェ(カフェインレス)ほうじ茶という選択肢
さらにカフェインを避けたい場合、「ノンカフェイン」(元々カフェインを含まない原料)や「デカフェ(カフェインレス)」(カフェインを90%以上除去)のほうじ茶があります。近年、多くの製品が販売されています。これらの選択肢を上手に活用しカフェイン量を調整することで、より安心してほうじ茶を楽しめますね。しかし、ほうじ茶の魅力はカフェインコントロールのしやすさだけではありません。次に、心と体に嬉しいその他の効果についても見ていきましょう。
ほうじ茶の魅力はカフェインだけじゃない 心と体への嬉しい効果
ほうじ茶の魅力はカフェインの少なさだけでなく、香ばしい香りや緑茶由来の成分による心身への良い効果も注目されます。
香ばしい香り成分「ピラジン」とリラックス効果
ほうじ茶特有の香ばしい香りは主に「ピラジン類」によるもので、リラックス効果が研究で示されています。香りを嗅ぐことで脳波のα波が増加し、自律神経系に働きかけ心身を落ち着かせると期待されます。
L-テアニンの効果
緑茶由来のアミノ酸「L-テアニン」も含まれ、リラックス効果や気分を落ち着かせる作用、カフェインの興奮作用を穏やかにする働きが知られています。ピラジンとの相乗効果でリラックスへと導きます。
その他に期待されること
ピラジン類には血行促進による冷え性改善や疲労回復、カテキンには脂肪吸収抑制などが期待されます。また、カフェインやタンニンが少ないため胃への刺激が比較的少なく、胃酸過多抑制効果も期待できるとされます。
ほうじ茶と上手に付き合い、豊かなお茶時間を
ほうじ茶は香ばしい風味と穏やかな性質で愛される日本茶です。カフェイン含有量や妊婦さん・子供への影響を正しく理解し、適切に飲むことで安心して楽しめます。
最後に重要なポイントを再確認します。ほうじ茶のカフェインは100mlあたり約20mg。妊婦さんの目安は1日200~300mg、子供は年齢に応じさらに少量です。飲む量や淹方の工夫、茎ほうじ茶やノンカフェイン製品の選択で摂取量を調整できます。魅力はカフェインの少なさだけでなく、ピラジンやL-テアニンによるリラックス効果も。妊娠中はタンニンによる鉄分吸収への影響も考慮しましょう。
この記事は一般的な情報に基づきますが、体質や健康状態は個々で異なります。特に妊娠中の方や小さなお子さんの飲食については、不安があれば専門家に相談することが最も確実です。正確な情報と専門家のアドバイスを基に、ほうじ茶との心地よいお付き合いを続けてください。
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